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2018.02.09
院長コラム

知っておきたい、保険診療と自費診療の違い


歯科医院では、健康保険が適用される治療と適用外の治療があります。健康保険の範囲内で受けられる治療は、病気に対する最低限の治療です。そのため、快適さや見た目にこだわった治療は自費診療となり健康保険が適用されません。例えば、素材にこだわった入れ歯、ホワイトニング、矯正治療のほとんどは自費診療です。
ここでは、保険診療と自費診療の違いについて紹介します。

■保険診療と自費診療の区別がある理由

なぜ、歯科医院で保険診療と自費診療を分けて行っているのかについて疑問に思う方がいるかもしれません。これには、健康保険制度が関係しています。
保険診療では、健康保険を利用することによって診療費の1~3割のみを患者が負担します。残りは、国や自治体、健康保険組合などが負担する仕組みです。最新の治療法や医療機器、素材などは高額なため、医療費はかさむことになります。その医療費を国や自治体が負担することは、国民が負担していることと同義になります。そのため保険診療は、最低限の治療にのみ適用されると決められているのです。

自費診療では最先端の治療法や素材などを用いて、先端の治療を受けることができます。厚生労働省が認可していない治療法や薬、素材などを用いるときにも、自費診療となることがあります。自費診療は全額が自己負担です。健康保険では1~3割分だけを負担すればよかったところ、診療費の全額が自分で支払うことになります。しかし、保険治療のようにルールがないため、自分に合った治療を受けることができるのです。

■保険診療と自費診療の組み合わせはできない?
最低限の範囲の治療を保険診療で受けて、残りの問題を最先端の治療で自費診療にできないかという考えも出てくるかもしれません。この方式を混合診療といいますが、今のところ日本では原則として認められていません。保険診療を受け始めたら健康保険が適用される範囲内だけの治療しか受けられず、同時に自費診療を受けることはできないのです。

この理由としてまずあげられるのが、国民皆保険制度の趣旨に反するためというものです。混合診療が認められたとしても、経済的に保険診療しか受けられない方や、反対に自費診療を受けられる経済的な余裕がありながらも一部の治療は保険診療で受けるという方が出てくることが予想されます。そのようなことになれば、不平等になりかねません。他にも、混合診療によって診療費が増えることで、国家の財政難になる恐れもあります。医療の質にも関係するため、混合診療は基本的には認められていないのです。しかし、高度先進医療に関しては、混合診療が認められることがあります。

■自費診療のメリットとデメリット

自費診療のメリットといえば、見た目を美しくするための治療を自由に受けられるということです。健康保険を利用する場合には、診療方法は患者の自由ではなく最低限の治療に留められます。しかし、全額の診療費を自己負担すれば、見た目を美しくする最先端の治療を受けられるのです。医院としては審美歯科や矯正歯科などが代表的であり、見た目にきれいな治療を受けたいという場合は自費診療を選択できないか相談してみるとよいでしょう。

自費診療のデメリットは、費用が高額になるという点です。健康保険が適用されれば1~3割負担になるところ、残りの7~9割分もすべて自分で支払うことになるのは大きな違いになります。継続的な治療をする場合には、費用も高額になるため経済的負担も重くなってしまいます。

歯科治療では、見た目が大きく左右するため、保険診療では物足りないと感じることもあるかもしれません。基本的には保険診療と自費診療の組み合わせはできないため、歯をきれいに見せる治療を受けたいと思ったら、最初から自費診療を受けられるよう相談することをおすすめします。